2018年12月


「練馬区主催『アスリート講演会』に卓球の岩渕選手が出演!!」
第1回目の特集で取材に応じて下さったパラ卓球の岩渕選手が練馬区で行われた「アスリート講演会」に出演されました。その折に近況をお聞きすることができました。実業団チームへの所属、海外遠征、東京2020大会への思いなど、ぜひ読んでみてください☆
岩渕幸洋選手 プロフィール

- 岩渕 幸洋(いわぶち こうよう)
- 1994年12月14日生まれ・東京都練馬区出身
- 練馬区立大泉小学校から早稲田実業学校中等部に進学、本格的に卓球を始める。
- 高校1年次に国際クラス別パラ卓球選手権大会で決勝トーナメントに出場。翌年にはジャパンオープンで初優勝。
- 早稲田大学在学中の2016年にリオデジャネイロパラリンピックに出場。
- 早稲田大学教育地球科学専修卒業後、協和発酵キリンに所属する。
- 2018年9月現在の世界ランキング第10位
- 2016年11月国際クラス別パラ卓球選手権出場
個人戦 準優勝ダブルス 岩渕/鈴木組 準優勝 - 2017年5月世界選手権(スロバキア)男子団体準優勝
- 2017年6月ドイツオープン男子団体 優勝
- 2017年10月ベルギーオープン男子個人 準優勝
- 2018年5月スロベニアオープン男子団体 優勝
- 2018年6月USオープン男子個人 準優勝
- 2018年8月中国オープン男子団体、男子個人 第3位
平成30年9月22日にココネリホールで練馬区が主催する東京2020オリンピック・パラリンピック2年前イベントとして「アスリート講演会」が行われました。この講演会にパラ卓球の岩渕選手が出演されました。講演会前のお忙しい時間にもかかわらず、笑顔で取材に応じてくださる姿は変わらずのナイスガイでした!
(1)実業団チームに所属され、学生時代との違いを教えてください。

所属している協和発酵キリンは日本トップの実業団チームです。健常者の日本代表に選ばれている選手たちがいるチームで、学生時代とは周りの練習相手のレベルが格段に上がり、毎日ボコボコにされています。早稲田大学も強いのですが、選手のレベルにばらつきがありました。
今は本当にトップの中のトップの方しかいない環境で刺激をいただきながら練習しています。
インタビュー中の岩渕選手
(2)NHKで放映された「超人たちのパラリンピック」にご出演され、
「誰よりも前へ」とおっしゃっていました。そのスタイルについて教えてください。
自分は先天性の障害ですので、卓球を始めた時から状況に変わりがありません。そのため、こうしないと勝てないというよりも自然と今の形になってきました。そこから自分のプレーを客観的に見て、自分は誰よりも前でプレーしなければいけないという意識付けができて成長できました。これにしなければいけないではなく、自然とこのスタイルが自分の軸となり、新しい技術を日々磨いています。
(3)ご出身である練馬区との繋がりを教えてください。
8月5日にパラ卓球の選手が自分たちで企画した卓球の大会を開きました。それは卓球の真剣勝負を見てもらうという趣旨で開催したイベントです。その時も練馬区にご協力をいただいて300人近くの参加者がありました。内容としてはパラ卓球のチャンピオンと準チャンピオンが各クラスを巡回して、そのクラスの決勝戦の様子を再現するというものでした。この大会で練馬区には大変お世話になりました。自分も今日のような企画に積極的に参加させていただきたいと思っています。
ガッツポーズの写真を撮らせてもらいました!
(4)今回の講演会場にはメダルプロジェクトの回収箱が設置されていました。東京2020大会では新しい試みが実施されていますが、改めてどのような大会になってほしいと思われますか。
より多くの方が繋がる大会になってほしいと思います。メダルプロジェクトも同じで、携帯電話を提供することで繋がっているという実感が出てくると思います。
また、パラスポーツの選手にとっては東京が決まってから環境が良い方向に大きく変わりました。東京が決まる前と比べて講演会や取材の機会も増え、大変ありがたいと思います。あくまでも個人の意見ですが、海外のパラスポーツが盛んな国と比べて日本での認知度はまだ低いと思います。自分たちの中では東京大会はゴールではなくスタートだと捉えています。この機会にパラスポーツの魅力を伝え、のめり込んでもらえればと思います。
ロンドンパラリンピックはこれまでで一番成功した大会と評されています。パラ選手だけの世界陸上が今年ロンドンで行われたのですが、スタジアムが観客で満員になりました。パラリンピックの成功が文化として根付いているのだと思います。東京もパラリンピックをきっかけとして新しいスタートになれば良いと思います。
(5)海外遠征も増えたのではないかと思いますが、印象に残る国や地域はありますか。
2018年度は海外の7大会に出場させてもらいました。卓球はランキングスポーツなので、世界ランクが大切になります。東京に出場するには日本で1位になることではなく、世界ランクの上位者になる必要があります。自分の順位を上げるためにも海外遠征にたくさん出させてもらっています。
7大会で3か月ほどを海外で過ごしましたが、スロベキアがとても好きです。のどかで緑に囲まれています。いつも5月に大会があるのですが、とても過ごしやすい気候です。ただ、ヨーロッパの料理は若干苦手で日本食が大好きです。朝はやはりご飯が食べたいのでマジックライスというお湯を入れるとご飯になる素材を持ち込んでいます。先輩には現地のものを食べろと言われますが、やはりご飯は外せません。
カメラ目線をお願いしました
(6)若い人たちにスポーツを通じて学んでほしいことはありますか。
パラスポーツは特に色々な障害の人がいて個性が強いと思います。自分もそうですが、人と違うことをするのには勇気が必要です。しかし、勝負の世界では人と同じことをするだけでは勝つことはできません。人と違うことをして初めて勝ちに繋がります。人と違うことにも積極的にチャレンジしてほしいと思います。
アスリート講演会での発表風景前のお忙しい時間帯にお邪魔したにもかかわらず、「取材に答えることが講演会で話しをする良い準備になりました」と気をつかっていただきました。
![]() 笑顔が印象的な岩渕選手
|
![]() アスリート講演会での発表風景
|
「アスリート講演会」の発表では「できないことをポジティブに捉えることで成長してきた」という言葉がとても印象的でした。さらに「僕の目標は東京パラリンピックで金メダルを獲ることですが、金メダルを獲るだけではなく、そこからパラスポーツの魅力を伝えたい。パラスポーツの面白さを伝えるためにもパラスポーツを代表する選手になりたいと思います」と発表を締めくくると会場全体から拍手が沸き起こりました。
爽やかで笑顔の素敵な岩渕選手をこれからも応援させていただきます!
(リオデジャネイロパラリンピックの様子等はバックナンバーをご覧ください)