おすすめの本「コンパス」2022年7月(No. 8)
2022年7月(No. 8)
中学生向け
読み物
あしたの幸福

いとうみく(著) 松倉香子(絵)
理論社
中学2年生の雨音(あまね)は父子家庭でしたが、交通事故で父親を亡くします。葬儀から数日後、国吉と名乗る人から突然電話がかかってきました。「お困りでしたら、わたしと住みますか?」と提案してきたその人は、雨音の生みの母親でした。
ボーダレス・ケアラー ―生きてても、生きてなくてもお世話します―

山本悦子(著) 竹浪音羽(画)
理論社
死んだ飼い犬・豆蔵のリードを持って毎日散歩に行く祖母。夏休み、大学生の海斗が祖母の散歩に付き合って空のリードを持つと、死んだはずの豆蔵の姿が見えました。それ以来、リードを持つと亡くなった人の姿が見えるようになって…。
サード・プレイス

ささきあり(作) 酒井以(絵)
フレーベル館
中学1年生の瑞希(みずき)は、友達に合わせてファッションに興味のあるフリをしていますが、本当に好きなものはマンガやアニメ。でも、オタク女子を隠すことにも最近疲れてきました。そんなとき、「サプリガーデン」という区の施設を知ります。
秘密のノート

ジョー・コットリル(作) 杉田七重(訳)
小学館
ジェリーはお調子者で、いつもモノマネや自虐ネタでみんなを笑わせている女の子です。だけど、本当は抱えきれないほどの悩みを持っています。その傷ついた気持ちは、こっそり詩にして「秘密のノート」に書き込んでいます。
スーパー・ノヴァ

ニコール・パンティルイーキス(著) 千葉茂樹(訳)
あすなろ書房
まわりから「知恵おくれ」と言われるノヴァの一番の理解者は姉のブリジットでした。里親の家を転々とする2人は、スペースシャトル・チャレンジャーの打ち上げを心待ちにしていたのですが、その日を前にブリジットが姿を消してしまいます。
みつばちと少年

村上しいこ(著)
講談社
中学1年生の雅也には、集団の中でうまくなじめないという悩みがありました。夏休み、北海道にあるおじさんの養蜂場に遊びに行った雅也は、「北の太陽」という児童養護施設で過ごすことになり、それぞれ境遇の違う5人の子どもたちと出会います。
彼方の光

シェリー・ピアソル(作) 斎藤倫子(訳)
偕成社
1859年9月のある夜、11歳の黒人奴隷サミュエルは親代わりの老人ハリソンに連れられ、ケンタッキー州の農場から逃げ出します。連れ戻される恐怖におびえながらも様々な人々の援助を受け、自由を求めてカナダを目指します。
読み物以外
みんなちがってみんなステキ ―LGBTの子どもたちに届けたい未来―

高橋うらら(著)認定特定非営利活動法人ReBit(リビット)監修
新日本出版社
「ほかの子とちがったっていいんだよ」。「ありのままで大人になれるんだよ」。LGBTへの理解や、周囲とのちがいに悩みをもつ子どもたちへの支援を広げようと活動している団体ReBit。当事者でもあるメンバーの思いを、それぞれの体験談とともに伝えます。
オマルとハッサン ―4歳で難民になったぼくと弟の15年―

ヴィクトリア・ジェミスン(作)オマル・モハメド(原案)
イマン・ゲディ(彩色)中山弘子(訳)滝澤三郎(監修)
合同出版
ソマリア生まれのオマルは、弟のハッサンと2人でケニアの難民キャンプで暮らしています。11歳から通い始めた学校と、障害を持つ弟の世話や家事で毎日大忙し。厳しい現実の中で希望を持ち続けた少年の記録です。
13歳からのイスラーム

長沢栄治(監修)
かもがわ出版
イスラームって知っていますか。どのような宗教で、どんな人々が信仰しているのでしょう。イスラームの成り立ちや歴史、食事や服装などの文化、世界中にいるイスラーム教徒の暮らしと現在の状況を、わかりやすく紹介しています。
この世界を知るための大事な質問 ―写真とデータが語るものがたり―

野澤亘伸(著)
宝島社
世界には、貧困、教育、児童労働、紛争、人身売買など様々な理由で苦しんでいる人々がいます。著者が日本ユニセフ協会の現地視察に同行取材したなかから、8ヵ国の写真で今起こっている問題を紹介し、Q&A方式でわかりすく解説します。
なんで洞窟に壁画を描いたの? ―美術のはじまりを探る旅―

五十嵐ジャンヌ(著) 中島梨絵(画)
新泉社
歴史部に所属する中学1年生の理乃は、ラスコー展で洞窟壁画を見て、人はなぜ絵を描くようになったのか疑問を持ちます。そこで、春休みにフランスを訪れ、祖父や研究員のタバタさんとともに博物館や遺跡を巡って、その謎を解き明かそうとします。
ミライの武器 ―「夢中になれる」を見つける授業―

吉藤オリィ(著)
サンクチュアリ出版
著者が開発した分身ロボット「オリヒメ」は、遠隔操作で他者とのコミュニケーションを可能にし、寝たきりの人の社会参加を実現しました。不登校を経験した著者が常識に囚われずに挑戦し続ける姿と、未来を担う若者へのメッセージを届けます。
高校生向け
読み物
ルーパートのいた夏

ヒラリー・マッカイ(作) 冨永星(訳)
徳間書店
イギリスの少女クラリーは、兄と子ども嫌いの父親との3人暮らしでした。毎年夏に訪れる祖父母の家で、大好きないとこのルーパートに会えることを心待ちにしていましたが、第一次世界大戦が始まると、ルーパートは軍隊に入ってしまいます。
ヨンケイ!!

天沢夏月(著)
ポプラ社
新入部員が入り、4×100mリレー(四継:よんけい)に出場することになった大島の高校男子陸上部。それぞれに悩みを抱え、チームワークもバトンパスも最悪でしたが、練習を重ねるごとに変化していきます。4人の視点で描かれる青春物語です。
少女と少年と海の物語

クリス・ヴィック(著)杉田七重(訳)
東京創元社
嵐で遭難し、ボートで1人海を漂っていた少年ビルは、同じく漂流していたアーヤという少女を助けました。極限状態の中、アーヤが語る物語がビルの楽しみになり、2人は心を通わせていきます。しかし、アーヤには何か秘密があるようで…。
櫓太鼓(やぐらだいこ)がきこえる

鈴村ふみ(著)
集英社
高校を中退した17歳の篤(あつし)は、家を出たいという理由で、相撲部屋に「呼出し」として入門しました。力士の四股名(しこな)を呼び上げたり土俵を作ったりと仕事を続ける中で、力士たちや先輩呼出しの姿を見て成長していきます。
ダリウスは今日も生きづらい

アディーブ・コラーム(著)三辺律子(訳)
集英社
ダリウスはイラン人の母と白人の父を持つアメリカの高校生。ペルシア語は話せず、居心地の悪い学校や父との関係、うつ病などの悩みもあり、自分に自信が持てずにいましたが、初めて訪れた母の故郷イランでの出会いが変化をもたらします。
オール★アメリカン★ボーイズ

ジェイソン・レノルズ(著)ブレンダン・カイリー(著)中野怜奈(訳)
偕成社
黒人のラシャドは、やってもいない万引きの疑いで白人警官から暴行を受けました。一方、白人のクインはその場面を目撃し、殴っている警官が友人の兄だと気づきます。事件の動画が拡散され、2人が通っている高校でも大きな話題となっていきます。
読み物以外
もがいて、もがいて、古生物学者!! ―みんなが恐竜博士になれるわけじゃないから―

木村由莉(著)
ブックマン社
著者は、子どものころから恐竜が好きという気持ちを持ち続け、研究者になるという夢を叶えました。人との出会いや進路の選択、研究内容など、著者が哺乳類の古生物学者になるまでの道のりをたどります。
「ハーフ」ってなんだろう? ―あなたと考えたいイメージと現実―

下地ローレンス吉孝(著)
平凡社
海外のルーツが含まれ「ハーフ」と呼ばれる人たちは、日常の中で生きづらさや差別を感じることがあります。一見すると差別とは思えないような言動の中にも、偏見が根深く結びついていることがあるのです。何が問題か考えてみましょう。
障害者とともに働く

藤井克徳(著)星川安之(著)
岩波書店
生活のため、生きがいのため、理由はさまざまですが、働くことは生きる上で重要な意味を持っています。それは障害のある人も同じですが、その労働の実態は非常に厳しいものがあります。どうしたら「ともに働く」ことができるのでしょうか。
人は見た目!と言うけれど ―私の顔で、自分らしく―

外川浩子(著)
岩波書店
顔のアザや脱毛症、病気や事故での身体の変形など、見た目を理由とする差別や偏見によって苦しんでいる人たちがいます。7人の当事者の体験や本音に加えて、家族や友人、過去にいじめてしまった人の話などから、見た目と生き方について考えます。
タネの未来 ―僕が15歳でタネの会社を起業したわけ―

小林宙(著)
家の光協会
15歳の時にタネの会社を起業した著者は、伝統野菜のタネを未来に残すため、日本全国に流通させる仕組みを作ろうとしています。タネを取りまく問題や、在来種を守る意義など、高校2年生の著者の思いが語られます。
みんなに話したくなる感染症のはなし ―14歳からのウイルス・細菌・免疫入門―

仲野徹(著)
河出書房新社
感染症の主な原因であるウイルスや細菌とそれらを防御する免疫について、医学部で病理学を教える著者が解説します。病気とは何か、感染症と人類の戦いの歴史などを学び、正しい情報を精査し、自ら判断する力を身につけるための1冊です。