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調べてみました!
このページでは、より深くオリンピック・パラリンピックのことを知ってもらえるような記事をお届けします。読んだら大会をもっと楽しめるはず♪ どうぞお楽しみに!

「パラバドミントンの豊田まみ子選手、渡辺敦也選手 講演会レポート(前編)」

平成29年12月19日に練馬区立大泉第二中学校において、オリンピック・パラリンピック教育の講演会が行われました。今回の講師はパラバドミントンの豊田まみ子選手と渡辺敦也選手のお二人です。日本を代表するお二方の魅力あふれる講演会の様子を取材させていただきました。 前編と後編の2回に分けてお伝えします。ぜひ、お読みください!


豊田まみ子選手 プロフィール

  • 平成4年4月11日 福岡県生まれ
  • 小学校のころからバドミントンを始める
  • 精華女子高等学校を卒業し、筑紫女学園大学に進学
  • 同大学3年在学時の平成25年にパラバドミントン世界選手権(ドイツ)シングルスで優勝
  • ヨネックス株式会社に勤務
  • 平成29年よりSPORTS JAPANアンバサダー(親善大使)を務める


 <主な戦績>
  • 2012年 アジア選手権大会 シングルス・ダブルス優勝
  • 2014年 仁川アジアパラ競技大会 シングルスベスト8  
         日本障害者選手権大会 シングルス・ダブルス優勝
  • 2015年 パラバドミントン世界選手権(イギリス)  
         シングルス準優勝 ダブルス3位  
         インドネシア国際女子シングルス 優勝
  • 2016年 日本障がい者バドミントン選手権大会 ダブルス優勝
  • 2017年 パラバドミントン世界選手権大会(韓国) シングルス3位 ダブルス3位

渡辺敦也選手プロフィール

  • 平成5年12月9日 宮城県生まれ
  • 中学入学時よりバドミントンを始める
  • 高校3年生の時に事故のため車いす生活に
  • 障害者バドミントンチームに参加し、パラバドミントンへと繋がる
  • アキレス株式会社に勤務






 <主な戦績>
  • 2016年 日本障がい者バドミントン選手権大会 男子ダブルス3位
  • 2017年 パラバドミントンインターナショナル(ペルー) 男子ダブルス準優勝
         パラバドミントンインターナショナル(アメリカ) 男子ダブルス3位
         パラバドミントン世界選手権大会(韓国) 男子ダブルスベスト8
         日本障がい者バドミントン選手権大会 男子シングルス優勝

■豊田選手、渡辺選手の紹介

 最初に神山校長先生より「今年は世界第3位(豊田選手)と日本第1位(渡辺選手)という輝かしい方々2名に来ていただきました。なかなかこういう機会はございませんので良い時間にしてください」と両選手の紹介がありました。


■模範演技とバドミントン体験

 講演会に先立って、豊田選手と渡辺選手がバドミントンの模範演技を披露してくれました。両選手の華麗なテクニックに惜しみない拍手が送られました。模範演技終了後に両選手は大泉第二中学校の生徒たちとバドミントン体験を行いました。バドミントン体験は練習試合のスタイルで実施され、豊田選手は元日本代表の島田選手とダブルスを組み、渡辺選手はシングルスで生徒とプレーしました。両選手は一時間弱の間、生徒たちとバドミントンをプレーしました。お二人の華麗なテクニックに会場からは歓声が絶えませんでした。その様子を写真でお楽しみください。


ウォーミングアップ中の豊田選手
ラケットを振ると風を切る音が聞こえてきます
ウォーミングアップで車いす操作を披露する渡辺選手
ラケットの動きが速くて写真に写らないほどです
島田選手(写真奥)との模範演技
豊田選手、渡辺選手、島田選手にバドミントン経験者の先生(左)を交えた変則ダブルス
生徒との対戦に会場から歓声があがります
豊田選手の華麗なプレーにため息が聞こえてきます
間近で見るプレーに大興奮する生徒のみなさん
握手で健闘をたたえる姿が拍手で包まれます
先生チーム(奥)も参戦。ひと際大きな歓声があがります
先生方も本当に楽しそうでした

バドミントン体験に続き両選手による講演会が行われました。お二人の選手が交互に行う講演は息がぴったりと合っていて、聞き手を魅了します。


■豊田選手・渡辺選手講演会


・豊田選手の話 -障がいについて-




 こんにちは、豊田まみ子です。私は1992年生まれの25歳です。出身は福岡県の福岡市です。現在、ヨネックス株式会社に勤めています。そこで選手として活動しています。私の障害について話をさせていただきます。障害を持っている人には先天性といって生まれつきの人と、後天性といって事故や病気で障害を持つことになった人たちがいます。私の場合は先天性になります。スクリーンを見てください。これが生まれた時の私です。生まれた時からこの状態なので、生まれてからずっと障害を持っているということになります。小さい頃からこの腕なので、何でも当たり前のようにやってきました。リコーダーとかも皆さんと同じものを吹いていましたし、裁縫の授業はむしろ得意でした。誰かに教えてもらったわけではなく、自分で勝手に工夫しながら当たり前のようにやっていました。あと、水泳とかも普通に参加して皆さんと変わらないように過ごしてきました。










 出来ることと出来ないことがもちろんあります。「靴ひもを結ぶこと」はできると思いますか?できます。「雑巾をしぼること」はできると思いますか?できます。輪っかを作ってひっかけて絞ります。





 今日、皆さんにお見せしたいものがありまして、持ってきました。義手です。すごく重いです。これをつけると右腕よりも重くなります。これはトレーニング用の義手なのですごく重く作られています。これのおかげで左手も鍛えることができます。





 ここからパラバドミントンについて話をします。パラバドミントンは6つのクラスに分けられます。WH1、WH2というクラスが渡辺選手と同じ車いすのクラスになります。SL3、SL4が車いすではない足の障害で義足になります。この他に上半身に障害のあるSU5と身長の低いSS6というクラスがあります。ここで、渡辺選手に車いすクラスの説明をしてもらいたいと思います。


・渡辺選手による車いすクラスの説明




 アキレス株式会社の渡辺敦也です。「なべあつ」と呼んでください(笑)。よろしくお願いします。簡単に車いすの説明をさせてもらいます。車いすクラスは大きくWH1とWH2に分かれますが、このWHが車いすを表す「ホイールチェアー」の頭文字になっています。WH1の方が障害の度合いが重たい選手という位置づけになります。自分は障害が比較的軽く、WH2のクラスです。障害の「重い」「軽い」はクラス分けが厳しく決められていて、ドクターがチェックします。一番わかりやすい例では、椅子に座って背をそらしてそのまま起き上れることがWH2の基準です。





ここで豊田選手にパラバドミントンのルールを説明してもらいます。


・豊田選手によるパラバドミントンのルール説明



 ここまでに紹介したクラスの他に、私と同じ上半身に障害のあるSU5というクラスとSS6という身長の低いクラスがあります。これらの中でSL4、SU5、SS6の三つのクラスが一般のバドミントンとまったく同じルールで行われます。車いすのクラスとSL3はコートの面積が半分で戦われますが、それ以外の競技規則は変わりません。パラバドミントンのルール説明は以上になります。








・渡辺選手の話 ―車いすでのプレーについて―



 あらためまして、こんにちは、「なべあつ」です。 生まれは宮城県の仙台市です。自分は後天性の障害で高校3年生の冬に事故で怪我をして車いす生活になりました。最近、東京に引っ越してきました。車いすでプレーしていますが、実物を見てもらいたいと思います。今、自分が乗っているのが日常車です。競技車はタイヤがハの字になっていることが大きく違います。これは一般的にバスケットやラグビーも同じで小回りがきくようになります。後ろに転倒防止のリアキャスターと呼ばれる車輪がついているのも特徴の一つです。これのおかげで先ほどのように後ろに反るプレーが可能になります。日常車で反ると倒れてしまいます。これは後ろが一輪のタイプですが、二輪のものもあり、安全性が高くなります。一輪だと結構転んでしまいます。




前編では大いに盛り上がったバドミントン体験と、豊田選手と渡辺選手の息の合った講演会の様子をお伝えしました。会場の楽しい雰囲気が伝わったでしょうか。後編では両選手への質疑応答とインタビューの模様をお伝えします。お楽しみに!

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